システム開発費が3倍以上になるカラクリ


 

システムやソフト開発を依頼する際は、少しでも費用を抑えたいですよね?

実はシステム開発の依頼先を間違うと大損失を被ります。

原価300万円のシステム開発費用に、900万円支払うのはさすがに嫌ですからね。
本記事では、被害に遭わなくなる方法を紹介していますので最後までご覧下さい。

 
なお、末尾にシステム開発依頼時に活用できる補助金について簡単に紹介しました。開発費用の2分の1、もしくは3分の2が戻ってくる国の制度なので、こちらも合わせてご覧下さい。


本記事はIT業界20数年経験の おざもと@IT参謀 の経験に基づいて書いていますのでご了承下さい。

おざもと@IT参謀の経歴

年齢 勤務内容 年数 場所 内容 / 職歴
23歳 SES(※)の会社に就職。大手銀行に常駐。 2.5年 東京 大手メガバンクに常駐。(保守、運用オペレータ)
27歳 ソフトウェア受託開発会社(※SIer)に勤務 2.5年 福岡 上流から下流までのソフト開発を経験(プログラマ,システムエンジニア)
29歳 Webコンサルティング会社に勤務 0.5年 福岡 Web開発を実施(プログラマ,システムエンジニア)
31歳 某計測機器メーカーの社内SEに従事 5.5年 福岡 ソフト開発会社に依頼する立場(プロジェクトマネージャ,プロジェクトリーダ,システムエンジニア)
37歳 起業、ソフトウェア受託開発会社(※SIer)を設立 10年 福岡 上流から下流までのソフト開発を提供中(経営,営業,プロジェクトマネージャ)

※SES…システムエンジニアリングサービスの略。客先にエンジニアを派遣するサービス。参考
※SIer…システムインテグレータの略。システム開発(要求定義,設計,開発,テスト,保守)の全てを実施。参考

 

ソフト開発費用が3倍以上になるカラクリ

ソフト開発依頼をどの会社に依頼するかで、費用が大きく変わります。

私の感覚になりますが、お客様が支払う費用は原価の2~3倍の費用を支払っています。過去最高では、弊社提出見積りの4倍以上の額をお客様が支払っている事例もありました。

何故そのような事が起こるのでしょうか? 

答えは商流です。 以下の図をご確認下さい。


【 お客様からソフト開発会社までの商流 】

建築業界同様、IT業界でも多重請負の仕組みがにもはびこっているからです。


【 ソフト開発会社からお客様までの見積りの流れ 】
システム開発の商流

A社 ➡ B社 ➡ C社 ➡ ソフト開発会社  が出来上がり雪だるま式に金額増えていき、ソフト会社の見積り額300万円が、最終的には900万円となってお客様に渡っています。

発注元であるお客様が、どのような階層で見積りが行われているか把握していないと、この様な事が普通に起こってしまいます。

 

商流だから仕方がないよ… と思った方

依頼先との関係が壊れるので、 しょうがないよ と思った方。
このやり取りが初回のみであれば良いのですが、今後も続くとなるとどうでしょうか?

システムは一度作れば終わりではなく、システムの機能追加、サーバ代、ドメイン代、メンテ、保守料でも同じ多重見積りが行われてしまいます。

なので 決して諦めないで下さい! 次の事を実施すれば、余分な費用は支払わなくてよくなります。

 

適正価格にする3つの方法

上記にシステム開発費用が高くなる原因を書きました。

ではどう対策を実施すれば良いのでしょうか?
次に紹介する3つの対策方法を実施してください。

 

方法1.関係会社の役割を明確化するように依頼する

依頼会社に見積書を出して貰う際に、プロジェクトにかかわる関係会社とその役割を明確化してもらいましょう。その中に何の役割も果たしていない仲介会社が間に入らないように依頼先にお願いしましょう。


【 各社の役割を明確化する 】
システム開発時は多重請負が横行している

念のためお伝えしておくと、別に多重請負が悪いと言っている訳ではありません。過度な多重請負が行われ、中間の業者が何もしないで見積りだけ上乗せをしている事が問題だと言っているのです。

なお、上記例では元請け会社(A社)は以下のような役割を担っています。

  • 要求定義書を制作した
  • お客様に営業して仕事を受注した
  • お客様と取引口座を持っている
  • 何かあった際の瑕疵担保責任を負う

これに対し2~3次請けの会社は要求定義書を丸投げし、貰った見積書に100~150万円を上乗せして次に渡しているだけです。

因みに2~3次請けの会社でも、以下のような役割があるのであれば、利益は乗せても良いでしょう。

  • プロジェクトのマネージメントを行う
  • 仕様書、取扱説明書を作成する
  • 打合せに出席して、ノウハウ、仕様定義などを一緒に行う
  • 完成図書(提出ドキュメント)を作成する

上乗せ分の仕事をしてくれるのであれば、間に何社入ろうが問題はありません。

 

この方法のデメリット

この方法には以下のデメリットがあります。

  • をつかれても判らない
  • 依頼先(元請け)との関係が悪くなる可能性がある
  • 最終的な見積額は、依頼先(1次請け)の値付け次第になる
    例:ソフト会社300万の見積りに元請け会社(A社)が600万上乗せて900万円になることも…

    デメリットを理解した上で実施しましょう。

 

方法2.依頼先をソフト開発会社にする

依頼先(元請け)をソフト開発会社(SIer)にする。これが出来れば、経費を抑える事が出来ます。

中抜きする会社が存在せず、そのまま直接取引する形になります。


【 元請けがソフト開発会社 】

帝国データバンク、東京商工リサーチなどを活用し、依頼先の与信審査を行ってから依頼するとより安全です。最初は様子見をすると良いでしょう。まずは小規模な開発を依頼して、どのようなやり取りを行うか、ソフトの品質はどうなのか、納品物は何なのか を事前に確認しましょう。問題なければ、本命のシステム開発依頼を行いましょう。

この方法の注意点もお伝えします。以下2点は納得した上で開発依頼を行いましょう。

 注意点① 瑕疵担保責任に耐えうるソフト会社?

システムは作ってからが本番、使いこなしていくことで会社のビジネスを好転させていきます。

システム運用時に起こりうるリスクとして何があるでしょうか?
色々とありますが、中でもシステム開発会社の倒産、情報漏洩は大きなリスクになります。

システムが原因で情報漏洩したとしても、社会の信用を失うのは情報を取り扱っているお客様です。
ソフト会社を訴えたとしても、そのソフト会社に費用を払える体力が無ければ損害賠償金は支払えません。

そのリスクを抑える方法として、ソフト開発会社との間に資金力がある企業を入れる必要があります。

参考情報ですが、弊社は今まで180以上のソフト開発を実施してきましたが、瑕疵担保責任で揉めた事は一度もありません。杞憂になると思いますが、リスクが心配な場合は間に体力がある企業を挟むと良いでしょう。

 注意点② 依頼先の会社がシステム開発を行えるスキルがあるか?

意外と知られていない事ですが、ソフト開発会社でも開発は行わずに開発内容を丸投げする企業も数多くあります。
検討しているソフト開発会社に依頼する際は以下の点を気を付けて依頼すれば良いでしょう。

  • ソフト依頼先がソフトウェア受託開発(SIer)を本業にしている
  • 開発実績見せて貰えるか。もしくは設計思想を聞いてスラスラと説明が出来るか
  • 同じエリアにあるソフト会社に依頼する 例:お客様が東京であれば、東京都内に事務所がある等
  • 社歴がある程度ある会社か確認する(帝国データバンク、東京商工リサーチ等で調査)
  • 社内に常に数名以上在籍しているか (Webサイト制作会社、SEO専門会社、エンジニア派遣(SES)は難しい)
  • Webサイト制作会社、SEO専門会社、エンジニア派遣(SES)だと開発は難しい

各内容を説明すると深くなりすぎるので、もっと知りたい方は、おざもと@IT参謀 までご連絡下さい。

 

方法3.ソフト開発会社に相見積りを依頼する

依頼出来そうなソフト開発会社を数社見つけたとしましょう。

次に実施すべきは、相見積りです。ここだと思う会社2~3社に見積り依頼をお願いし、伴走してくれそうなソフト開発会社を見つけましょう。

お客様の業種・業界に知見があったり、開発に必要となる技術を得意としているソフト開発会社が見つかればBESTでしょう。

 

既にシステム構築済みで頭を抱えているお客様へ

 
システム稼働中で、他社システム会社に変更する場合は以下の2つしかありません。

 

方法1.元請け会社に相談してスリム化してもらう

まずは、現状の商流がどうなっているか正直に聞きましょう。

商流に何もしていない中抜き会社がいる場合は、間に入れるのを無くして貰えないか相談します。中抜き会社がいないのであれば、直接ソフト開発会社とやり取りを行いたい旨等を相談してみてください。

元請け会社も関係が悪くなるのは避けたいはずなので、ある程度は考慮してくれるかと思います。

 

方法2.信頼おけるシステム会社に相談する

元請け会社や中抜き会社が、断固拒否するのであった時の最終手段となりますが、信頼おけるシステム会社に相談しましょう。ソフト受託開発会社(SIer)であれば高い確率で相談に乗ってくれるはずです。

相談時にソフト開発会社は以下の事を必ず聞いてくるので、準備しておくと話がスムースに進みます。

  • システムの概要、目的
  • 技術(サーバ、プログラミング言語)は何を使っているか?
  • Webサービスであれば、ドメイン、サーバの管理は何処が行っているか?
  • サーバのID、PSWDは知っているか? もしくは既存ソフト会社に聞く事は出来るか?
  • 既存システムの会社とは仲たがいしていないか?
  • システムの仕様書、取扱説明書はあるか?
  • システムのプログラム(ソース)はあるか?

太文字の項目が重要です。ここがあればシステムを1から作り直さなくても良くなります。ただし、システムのプログラム(ソース)の著作権はソフト会社の物だと言ってくる会社もいるので、その際はプログラムを買い取るか、新規に作り直す事になります。

様々な事が起こりうるので、まずは信頼あるシステム会社とアポを取りましょう。

まとめ

  • ソフト開発費用が2倍以上になるカラクリは、多重請負いが原因
    ・多重請負いが悪いわけでは無い。何もしない中抜き会社が悪い。
    ・ソフト開発会社からお客様までの商流の中で見積りが雪だるま式に増えている
  • ソフト開発費用を適正価格で支払う対策方法
    ・方法1.見積り依頼時に多重請負いしないように通達・確認する
    ・方法2.依頼先をソフト開発にすると良い。だが注意が必要
    ・方法3.ソフト開発会社に相見積りを依頼すること
  • 既にシステム構築済みで頭を抱えているお客様へ
    ・元請け会社に相談してスリム化してもらう
    ・信頼おけるシステム会社に相談する
  • システム開発費用の3分の2が戻ってくる補助金について

 

システム開発費用の3分の2が戻ってくる補助金について

 

システム開発費用を抑えるために、国の制度である補助金『ものづくり補助金』、『事業再構築補助金』 を活用しましょう。

弊社と補助金を熟知している中小企業診断士(システム開発時の補助金成功率:約86%)とタッグを組み、システム開発を行います。興味がございましたら、担当おざもとまで連絡(電話もしくはお問合せフォーム)下さい。

なお、お請けする際は以下の条件に合致している必要がありますので事前にご確認下さい。

■補助金を利用できる条件

  • 会社が2期以上続いている
  • 前年度の売り上げが5,000万円以上ある会社
  • 過去1年以内に補助金を受けていない会社(1年に1度しか利用できない)
  • 過去3年に2回補助金を受けている会社(3年に2回しか利用できない)
  • システム依頼先と資本提携がない 例)弊社に資本関係にある会社は依頼できない
  • システム開発見積額が1,000万円以上ある(最低800万円) ←ここは弊社が見積ります
  • その他条件は、中小企業診断士様との打合せにて… (ここでは割愛)

補助金活用時は、先に代金を支払った後に、補助金額(開発費の3分の2)が支払われる流れとなります。900万円のシステム開発であれば、実質的な支払いは300万円で良いです。

■大まかな流れ
見積り書(900万円)を御社に提出 ➡ お客様はシステム納品時に900万円を支払う ➡ 補助金600万円が振込まれる

納品時の900万円が準備できない会社は、銀行に借り入れる必要があるので了承下さい

 

IT業界は知らないと搾取される事が多い業界です。今後も知っておくべき内容をアップしていきます。

知識武装して搾取されないよう気を付けましょう!

最後まで見て下さりありがとうございました。

 

 

お問い合わせはこちら